シニア海外ボランティア - 武田順二さん(エクアドル)
今週は、エクアドル共和国(Republic of Ecuador)をピックアップ!
<国の位置>
南アメリカ西部に位置。
北にコロンビア、東と南にペルーと国境を接し、西は太平洋に面する。
本土から西に1,000km程離れたところに世界遺産 ガラパゴス諸島を領有する。エクアドルは赤道直下にあり、本土は標高によって中央のシエラ地域、太平洋岸のコスタ地域、熱帯雨林が広がるオリエンテ地域に分かれている。
※国名のエクアドルはスペイン語で赤道を意味する。
首都…キト
<面積>
25.6万平方キロメートル(本州と九州を合わせた広さ)
<人口>
1,446万人(2010年、世銀)
<言語>
スペイン語(公用語)、その他ケチュア語、シュアール語など
<民族>
メスティーソ、インディヘナのほか、白人など
<宗教>
カトリック、プロテスタント等
<気候>
基本的に赤道直下の熱帯だが、シエラは標高が高く、またコスタも寒流であるペルー海流の影響により、過ごしやすい気候になっている。
<食事>
コスタでは主にコメ、バナナ、ユカイモ、魚、エビ、貝類などを主食としている。中でも有名なのがセビッチェといわれる、冷たいエビや貝などのスープ。その他にもアロス・コン・ポジョやアロス・コン・マリネーロなど、周辺国と似た料理が食べられている。
シエラでは芋や、トウモロコシを主食とし、牛、豚などを飼いミルクを売ったり食べたりして生活している。海産物はめったに手に入らない。シエラの料理で代表的なものは豚肉のフリターダや羊肉のセコ・デ・チーボ、スープのロクロなどの名が挙げられる。
オリエンテにもユカイモを軸にした独自の食文化が存在する。
エクアドルは世界一のバナナの生産高を誇り、国内には40種以上に及ぶバナナがある。バナナを使った料理も少なくない。一番、ポピュラ� �なのはバナナのフライ(トストーネス)。シンプルな一品だが、甘いバナナや甘くないバナナ(じゃがいもの食感に似ています)などが選べる。トストーネスはキューバなどカリブ沿岸諸国でもポピュラーな食べ物。また、フラン・デ・バナノのようなお菓子にもバナナが使われる。
出典・参考:外務省HP、ウィキペディア、地球の歩き方HP
今日の電話インタビューは、シニア海外ボランティアとして活動中の武田順二さん!(職種:農業の病害虫対策)
■武田さん、よろしくお願いします。
日本は午前11時30分ですが、そちらは何時ですか?
武田さん 以下武)よろしくお願いします。日本と14時間の時差がありますので、6日金曜日の夜9時30分過ぎで、こんばんは、の、Buenas noches (ブエナス ノーチェス)ですね。
■十勝はやっと少しずつ春らしくなってきましたがそちらはいかがですか?
学生が専攻として望むもので全国的な調査
武)エクアドルは、赤道直下の国で、熱い!というイメージだと思いますが、ここ、リオバンバは、標高2850mのアンデス山脈の山間部にありますので、年中10~20℃の、十勝の5月連休明けくらいの気候で、涼しいくらいです。標高の低い、西の海岸地域、コスタと言いますが、また、東のアマゾン川の源流地域、オリエンテと言いますが、コスタとオリエンテは、年中、熱帯雨林で、35℃前後の蒸し暑い気候です。
■標高が高いところでの生活ですが、体は大丈夫ですか?
武)初日は、富士山に登ったときのような、二日酔いのような感じで頭痛が半日続きました。でもすぐに慣れます。ただ、走ったりすると息が切れます。スポーツ選手の高� �トレーニングですね。昨年11月に一時帰国したときには、酸素が濃い感じがしました(笑)!
■エクアドルのことを教えていただきたいのですが、まずはエクアドルの通貨や物価について教えてください。
武)エクアドルの紙幣は、アメリカのドル使っています。エクアドルの物価は、日本の1/4~1/5くらいで、国内の農産物は、安く、輸入しているものはかなり高価です。今、マンゴーの出荷時期で、700g~800gの大きなものでも、1個30~40セント、約30円で買えます。大変、甘くて美味しいです。花も安く、中くらい大きさのバラの花が5本~6本の花束で、1$(80円)で、カフェのコーヒー1杯で、花束が買えます。毎週、土曜日には、1束買って、2週間持ちますので、部屋には、いつも2束、飾っています。
■武田さんは昨年3月か� ��エクアドルで活動されているということですが、どんなところで活動されていますか?
武)私の所属事務所は、5番目の都市・リオバンバ市内にありますが、主な職場、現地は、車で、1時間ほど南へ行ったグアモテと言う町の山間部の農業地域で、標高は約4000mあります。私の職種は、農業の病害虫対策ですが、今は、標高4000mの所に、木や竹の骨組みの、ビニールハウス、温室を作っています。標高4000mになると赤道直下でも、早朝に霜が降ったり、ひょうミゾレが降ります。4~5月くらいの帯広から見える山々に似ています。栽培している馬鈴薯やとうもろこしが霜の被害に遭うこともあります。夜の寒さのために、トマトやキュウリなどの、実のなる野菜が栽培できないので、温室を作って、温室の中で、トマトやキュウリを栽培 する計画です。
■「農業の病害虫対策」は具体的にはどんな活動するのですか?
基本的なコミュニケーションスキルの欠如
武)こちらでは、豊かな農家は化学肥料や農薬を多く使い、貧しい農家は、ほとんど使わない農業をしています。農産物の品質は悪く、日本では販売できない程度の、病気や害虫の被害の物が売られています。農薬の正しい使い方や、農薬を使わない栽培の方法を、現地の農家の人達と考えながら、広めていくことが、私の仕事です。温室を作るのは、高く売れる作物を作ることも、目的ですが、温室で網を張って、温室の中に害虫が入らないようにすることも目的です。また、売っている種の値段が高くて、病気の付いていない種を買うことが出来ない農家が多く、自分で栽培した物を種にしているので、種からの病気が多くなっています。栽培の上� ��な農家に、種作りを専門に、栽培してもらい、近くの農家に、安く種を売るような、種作りのグループを作る計画を、進めています。日本では、種と苗の法律、種苗法や、農家の種作りの生産組織が農協などで組織されているので、その方法を参考に取り組んでいます。エクアドルは、まだまだ品質よりも収量が重要視されていますが、石油を輸出して、豊かになりつつありますので、これから進化の速度を速めそうです。
■活動を行う上で、大変なところはどんなところですか?
武)私が対応している農家の人たちは、ほとんどがインディへナの人たちなんですが、のんびりしているといいますか、所得や収量を上げたいというよりは生活を楽しみたいという人たちです。新しい技術をみんなの前で実証しても、お金や手間が かかると考え、すぐには普及はしません。従来の伝統的な生活様式や生活習慣、農業の方法など、急激な大きな変化を嫌がる傾向があり、いい事や楽な方法が普及しないことがよくあります。若い人達は、新しい技術に対して、比較的熱心で、何年後かに役立つ方法、技術として、私ものんびりと進めるように、考えるようになりました。都市部では、新しい技術を導入している人たちも、もちろんいます。
■活動のやりがいはどんなところにありますか?
武)日本では、個人というより、組織で活動することが多く、自分の成果が見え辛いですが、JICAボランティアは、色んな人の支援を受けますが、個人での活動が多く、活動の成果を、すぐに、はっきりと見ることができます。思い通りに行かない時の苛立ちと、成果が見え� ��時の満足感は、日本の組織社会では、味わえないことが多いですね。また、日本では、相手に対する怒りや感謝の気持ちを、言葉で表現しますが、言葉が十分に理解できない場合、態度でしか表現できませんし、態度からしか受け取れません。今、この人は、怒っているとか、感謝してくれているとか、態度から感謝されていると感じた時の満足感は、言葉以上の満足感があります。それから、子供たちを見ていると、微笑ましく思います。これは、帯広でもどこでも同じことではありますけれど。
♪はしだ のりひこ と シューベルツ「風」
■エクアドルの方はどのような人々ですか?
世界のニュースのトップ大学
武)エクアドルには、スペイン系の白人、黒人、インカの末裔のインディヘナの3つの民族がいます。民族間で、所得による貧富の差はありますが、大きな差別や民族間の対立などは無いようです。インディヘナは、アジア系民族なので、日本人とよく似ています。白人、黒人は、GパンにTシャツ姿が一般的ですが、インディヘナは、帽子にポンチョの民族服をいつも着ています。リオバンバ市内では、公用語のスペイン語を使っていますが、インディヘナの農村部では、インカの言葉・キチュア語を仲間同士では使っています。子供達は、学校ではスペイン語、家では、キチュア語といった感じです。
■シニア海外ボランティアに応募しようと思ったきっかけ を教えてください。
武)30年前になりますが、大学卒業の時、青年海外協力隊として、アフリカのマラウイに行くことになっていました。ところが、色々な事情で行けなくなり、その後も、行く機会があればとは思っていました。遠い国や、知らない街に憧れていたのかも知れません。大学から帯広十勝に住んで、もう、40年になりますが、生まれは、九州福岡県で、帯広市も遠い憧れの街だったのだと思います。10年前、帯広市の職員時代に、帯広市の海外友好都市の中国朝陽市に2年間、JICAの専門家派遣として2年間、畑作物の栽培指導を経験しました。農業は、体力を必要としますので、体力と健康に自信が有るうちに、と思い、帯広市を早期退職して、今回、シニアボランティアに応募しました。
■ご家族や友人の反応はい� �がでしたか?
武) 家族は、最初は、呆れていましたけど、子供達が就職して、私の夢を叶えるように、言ってくれましたので、決断し、実行できました。友人や元の職場の人達からは、このような事ができるのが、羨ましいと言われました。家庭や職場に恵まれたので、実行できましたが、やりたくても色々な事情で出来ない人もいると思います。私には、今のタイミングと周りの環境が良かったのかなと思います。
■4月1日から、JICA海外ボランティア(青年海外協力隊・シニア海外ボランティア)の春募集が始まりました。応募を考えてらっしゃる方、特にシニア世代の方に向けて、武田さんからアドバイスとメッセージをお願いします!
武)JICAボランティアは、農業の他、医療や環境対策、学校教育などと思っていましたが、現在は、色んな職種の技術員が派遣されています。ミシンを使って服を作る服飾や、パンやお菓子作り、剣道、柔道、水泳などのスポーツ、音楽で、ピアノなど。いろんな分野の職種を、海外の開発途上国から、日本の技術が求められています。専門技術といっても、高度な最先端技術を求めている訳ではなく、むしろ、ひと昔前の、日本の技術や組織の紹介や、その国や地域に適した技術や方法を、現地の人達と一緒に考えることが、求められていると思います。シニアボランティアの応募に当たっては、健康診断が必要です。体力作りと健康維持に心がけられて、まずは、親しい友人の方と、JICAボ� �ンティア説明会や帯広市自由が丘のJICA帯広センターに、気軽に相談されるといいと思います。日本の技術や、日本との交流を必要としている国や地域、街がたくさんあります。年配の方には、語学が少し厄介ですが、大きな障害や支障にはなりません。私も、帰国後は、ちょっと休んでから、健康診断がOKなら、別な国をもう一度、応募したいと思っています。そのためにも、健康に注意していきたいと思っています。JICAの説明会では、シニアボランティアのOB・OGの方のいろんな国の体験談や写真で、食べ物や民族衣装などを紹介してくれます。南半球では、夜の星も日本とは違ったものが見られます。今回、応募されなくても、気軽に、説明会に参加されるといいと思います。
4月1日からJICA海外ボランティア《青年海外協力隊・シ ニア海外ボランティア》を募集中です。
≪体験談&説明会≫
4月22日(日)
シニア海外ボランティア 10:00~12:00
青年海外協力隊 13:30~15:30
場所:JICA帯広国際センター
帯広市西20条南6丁目1-2
募集要項の配布、派遣までの流れ・待遇等の説明、帰国ボランティアの体験談の発表などを行います。
参加者の年齢は不問で入場無料・予約不要、途中入退場自由です。
今回の募集の締切りは、5月14日。
詳しくはJICA帯広 0155-35-1210、またはHPで!
■最後にこれからの活動の目標を教えてください。
武)私の本来の職種である、農業の病害虫対策は、農薬や虫よけ資材の 生産、流通にまで関連しますので、早急に今改善できること、改善しなければならないこと、など、現地の指導者や農家と話合いながら、進めていきます。それとJICAが重んじているのが国と国の友好を築くことです。この国のできるだけ多くの人達と、交流したいですね。エクアドルで、日本は未だ知られていないことがたくさんあります。日本というと、柔道、サムライ、つなみ、くらいで、日本の車がたくさん走っているのに、日本の家庭電器製品、日本の漫画のアニメドラマ、日本の物があるのに、それが日本と知られていないようです。私も、エクアドルが決まる、その前まで、南米の何処にあるのか、どんな 国か知りませんでした。南米といえば、サッカーのブラジル、アルゼンチンくらいでした。少しでも多くの人と、交流できたらと思っています。実は、今日は復活祭(セマナ・サンタ)でした。アパートの大家さんに招待されてごちそうをたくさんいただいてきたんです。まだまだ友達を作りたいと思っています。あと1年間、健康に注意しながら、頑張ります。
ただ、今までの1年はあっという間でしたから、きっとあっという間だと思います。
■ありがとうございました!
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